神様は、一部の人間に理想郷を与えることにしました。
まずは、外の世界から隔離した場所を造り、そこへ人間達を住まわせます。
人間が食べ物に不自由しないよう、
飲むだけで空腹が満たされ、若さを保ち、健康でいられる”湖”をつくりました。
その水は、人間だけでなく、植物を潤し、空気もきれいにします。
身体にかけるだけで、汚れが取れ、傷が治り、とても良い香りに包まれます。
また、法律を無くし、自由に生きられるようにしました。
気候は常に心地よく、衣服は必要ありません。
働く必要も無く、病気にもならず、男女は誰とでも交われます。
人々は、この理想郷に感謝し、生きることを楽しみました。
しかし、何ヶ月か過ぎると、人間達は不満を持つようになりました。
それは、人間が持つ、妬みや嫉妬から生まれる感情でした。
神様は、人間から男女の種別を無くし、その原因を取り除きます。
そして子孫を残せない代わりに、永遠の命を与えました。
暫くすると、また人間達から不満の感情が現れます。
調べてみると、綺麗な者が醜い者を虐げていました。
神様は、表面の差異を無くし、人間の形状を均一化します。
これでやっと、人々から不満の感情が消えました。
暫くして神様が理想郷を眺めると、人々は皆、あの湖にプカプカと浮き、じっとしていました。
それは神様にとって、とても綺麗で完璧な理想郷でした。
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